戦艦陸奥の鉄から作られた太刀「青海波」のサイトです。

陸奥鉄鍛え倣い元帥刀(号 青海波)について

陸奥鉄とは

第二次世界大戦の戦前から戦中にかけて活躍した戦艦「陸奥」の鉄です。

1970年ごろ、旧大蔵省と深田サルベージが払い下げ契約を締結。同社の所有物として海中から引き揚げられ、鉄屑として売却されました。

作刀者

鍛刀: 満足弘次 刀匠

彫刻: 片山重恒 装剣金工師

研磨: 柏木良 研師

注文: 堀江仁貴

後援: 駆逐艦菊月会

作刀開始に至るまでの経緯

  1. 2016年、ソロモン諸島で働いていた注文主が、日本にある母の実家へ行き、その折に陸奥鉄の塊を見つける。
  2. ほかに誰も引き取り手がいなかったため、陸奥鉄を譲り受ける。
  3. 塊のままではソロモン諸島側の法律の壁があり(The Protection of Wrecks and War Relics Act)、死蔵するか、最悪の場合、没収されるだけなので、日本側の法律に従って手続きをとり、形を変えて身近に置きたいと考える。
  4. Twitterで、具体的に何に形を変えるか片山装剣金工師に相談。鐔や刀はどうか、との提案を受ける。
  5. 三笠刀の例を知っていたので刀にする道を選び、2017年、満足刀匠に陸奥鉄を委ねる。
  6. 駆逐艦菊月会の後援で、「青海波」の作刀が始まる。

玉鋼と特殊鋼(戦艦の鉄)の割合

三笠刀…玉鋼7:クルップ鋼3

青海波…玉鋼9:ヴィッカース鋼1

三笠刀と比べ、青海波は特殊鋼に対する玉鋼の割合が上がりました。

理由としては、特殊鋼中のニッケルNiとクロムCrの比率が上がり、同じ割合では非常に硬くなり作刀に向かないこと、また焼き入れ性がよくなりすぎる(刃文が形成されにくい)ため日本刀として成立しなくなることが挙げられます。

出典: 装甲鋼板データ - 大砲と装甲の研究 - Internet Archive

鍛錬開始直前の陸奥鉄

茎(なかご)の銘

《佩表》

備前国長船住弘次作

柳匠堂重恒彫之

《佩裏》

令和元年牡丹華

以戦艦陸奥防禦鋼板鍛

※この動画は再生すると音が出ます。ご注意ください。

刀身の碑文

「為萬世開太平」とあり、「萬世の為に太平を開く」と読みます。

『近思録』に典拠を持つ玉音放送の一節です。

「将来の為に平和への道を開く」が、およその意味です。

有名な「堪え難きを堪え忍び難きを忍び」の後に、「以って萬世の為に太平を開かんと欲す」として続きます。

刀身彫刻の途中

号の由来

「太平の世がいつまでも続くように」という願いが込められているとされる青海波文様。

陸奥鉄と同じ海由来のものであることと、刀身の碑文と同じ平和への願いから、「青海波」の号を採りました。

姿の由来

「青海波」の姿は元帥刀に由来しています。

一般的な鋒両刃造り(小烏丸造り)との違いは、鋒が鋭く、鎬が棟側に寄っているところです。

佩裏には菊の御紋章の代わりに海軍の「桜に錨」が彫られています(元帥刀の佩裏は陰十六八重表菊の金象嵌)。

蜻蛉鏟(せん)で薙刀樋を掻く

鎺(はばき)について

加納夏雄の作、水龍剣の鎺を参考にしています。

水龍剣のものは、金無垢で華やかな印象ですが、青海波のそれは、落ち着いた印象にするために銀無垢を採用しています。

用語解説

茎(なかご)

刀身の柄に被われる部分です。ここに銘を切ります。

佩表/佩裏(はきおもて/はきうら)

太刀は刃を下にして腰から吊り下げて佩きます。このとき、体に付くほうが佩裏、体の外側になるのが佩表です。

牡丹華(ぼたんはなさく)

七十二候の一つです。令和元年の牡丹華は5月1日ごろです。

銘/号/碑文(めい/ごう/ひぶん)

銘とは、茎に刻まれている文字を言い、号とは、銘に関係なくついた愛称を言います。また、碑文とは、刀身の鞘に被われる部分に刻まれている文字を言います。

鎺(はばき)

刀身の手元の部分に嵌める金具です。刀身を鞘に固定する役目をし、かつ鞘の中で刀身を浮かせたまま支えておく機能があります。

白鞘(しらさや)

ホオノキの柄と鞘のみで仕上げられた外装を白鞘と言います。白木のままのため、鞘の内部で湿度が調整され、刀身が錆びにくいとされています。

寄せられたご質問

「青海波」に拵はありますか。

令和2年現在、白鞘のみです。

二振り目以降の作刀予定はありますか。

今のところありません。

「青海波」作刀にかかった費用を教えてください。

鍛刀代、金工代、研磨代、白鞘代で合計300万円です。

駆逐艦菊月会の「後援」とは具体的に何を指しますか。

このサイトの構築や「青海波」の写真撮影といった、広報による支援を指します。

太刀「青海波」に関するお問い合わせ

以下の連絡先までよろしくお願いいたします。

contact@horie-hitoki.com

または